加齢黄斑変性症

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加齢黄斑変性症とは

加齢黄斑変性とは、網膜の中心である黄斑部(物をみるために重要な部分)に血管新生が起こり、出血やむくみなどにより、変視症(物がゆがんで見える症状)や、中心暗点(見たい部分が黒くなって見えなくなる症状)、視力の低下を引き起こす病気です 。この病気は、大きく萎縮型と滲出型の2つに分けられ、さらに滲出型では特殊型としてポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖があげられます。

萎縮型

網膜色素上皮が、加齢により萎縮していくタイプです。このタイプは進行が緩やかで、視力の予後も比較的良好ですが、滲出型に移行することもあります。

※FA:フルオレセイン蛍光眼底造影 OCT:光干渉断層計

滲出型

滲出型加齢黄斑変性では、脈絡膜から網膜に向かって新生血管という、正常とは異なる血管が生えてきます。この血管はもろく破れやすいため出血を起こし、血液などが網膜の下にたまってしまいます。

特殊型

●ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)

最近、加齢黄斑変性(以下 AMD)とされてきたものの中に50%以上で、ポリープ状脈絡膜血管症(以下 PCV)であるものが多く含まれていることがわかってきており、自然経過も治療成績もAMDとは違うことから、的確な診断が求められる疾患です。
PCVはポリープのような血管のコブができているのが特徴です。片眼性で男性に多く、動脈硬化や高血圧の患者に生じやすいといわれています。ポリープ状の血管は、出血を起こすこともあります。PCVは視力予後良好な疾患といわれていましたが、日本人は欧米と違い黄斑部病変が多いことがわかってきており、出血性(硝子体出血や網膜の出血)の経過をとるものもあり必ずしも視力予後良好とはいえない疾患です。

●網膜血管腫状増殖(RAP)

殆どの黄斑変性症は網膜より更に奥の部分で出血などを起こし、網膜部まで滲出していくものですが、網膜血管腫状増殖はそれらとは逆に網膜部で出血を起こす病気です。
その出血が視細胞外節、網膜色素上皮へと侵入していき、最終的に脈絡膜新生血管と結合していきます。高齢者で、黄斑部に大きなドルーゼン(加齢による代謝残渣)が多発している眼にときに認められ、一度良くなったとしても再発しやすく、難治性の病気です。

滲出型加齢黄斑変性症の抗VEGF薬治療について

加齢黄斑変性症での新生血管が発生する原因物質として、VEGF(血管内皮増殖因子)が見つかっています。
VEGFは正常な血管を形成し、維持するために不可欠な物質ですが、本来は必要でない血管を発生させるなど、加齢黄斑変性では悪いはたらきをしてしまいます。
抗VEGF薬は、眼の中に注射することでVEGFのはたらきを阻害し、新生血管の成長を抑え、新生血管からの滲出液や出血を止めることにより症状を改善します。

抗VEGF薬による治療は、一旦症状が改善しても再発してしまうことがあります。再発した病気を放っておくと、気が付かないうちに病状が進行して、視力の低下や見えにくい範囲が広がってしまう恐れがあります。現在の視力を維持するためにも、定期的な検査と治療が大切です。